唯一無二の個性と本格的なオフロード性能を融合させたトヨタ「FJクルーザー(FJ Cruiser)GSJ15」は、独自の存在感で今もなお多くのファンを魅了し続けています。レトロで愛くるしいフロントフェイス、垂直に近いAピラーや白いルーフカラーに、4.0L V6エンジンによる高い走破性など、随所に際立つ魅力が詰まっています。今回は「FJクルーザーGSJ15」にピックアップし、その誕生の背景や開発コンセプト、個性的なエクステリア、実用性の高いインテリア、グレードの違い、中古車相場まで解説。印象に残った1台となった、トヨタ「FJクルーザーGSJ15」その魅力に迫っていきます。

当該記事は、職業柄延べ18,000台以上の運転経験のある筆者(えーがた)が、印象に残った1台をピックアップして振り返って執筆しています。
「トヨタFJクルーザーGSJ15」とはどんなクルマなのか

トヨタ「FJクルーザーGSJ15」は、トヨタが2006年から北米市場向けに販売を開始した、本格派クロスカントリーSUVです。「ランドクルーザー」シリーズの伝統を受け継ぎ、プラットフォームはフルフレーム構造を採用して、強度と耐久性を確保。4.0LのV6ガソリンエンジンの搭載や、リヤデフロック付きパートタイム4WDを採用、ベースとなる「ランドクルーザープラド」に比べて、ショートホイールベースや大径タイヤとすることで悪路での走行性能も高めています。

かわいい見た目に注目されがちですが、「ランクル」ベースの本格派クロカンSUVです。
誕生の背景と日本市場への投入

トヨタ「FJクルーザーGSJ15」は、2006年よりアメリカで販売している本格派クロカンSUVです。個性的なレトロデザインが特徴的で、そのデザインは特に北米で人気を誇った「ランドクルーザー40系(FJ40)」を現代風にアレンジしたモデルで、オフロード性能と都会的なスタイリングを両立していることから、幅広い層から人気を集めました。当初、日本市場での販売は予定されていませんでしたが、北米仕様の逆輸入車が人気になるなどの経緯があり、2010年から日本国内向けにも展開したモデルです。
グレード展開と新車価格

トヨタ「FJクルーザーGSJ15」のグレード展開は、ベースグレードとなる「FJクルーザー」、ボディ同色ドアトリム加飾、メタルカラーで加飾した大型シフトノブ&トランスファーノブ等を採用している「カラーパッケージ」、ビルシュタイン製ショックアブソーバーや、リヤデフロックを標準装備としている「オフロードパッケージ」の3グレード。エンジンは共通して4.0LのV型6気筒(1GR-FE型)を搭載し、5速ATとの組み合わせでパワフルな走行性能を実現しています。新車価格はベースグレードで314万円からでした。
発売期間
トヨタ「FJクルーザーGSJ15」は2006年から北米市場向けに販売がスタートし、その後アジアやオセアニア、中東にも展開されました。国内での発売期間は2010年12月から2018年1月までの約7年間継続販売され、クロカンSUV市場の中でも独自の存在感を放っていました。惜しまれつつ販売終了となりましたが、現在も中古車市場で高い人気を維持している1台です。
「トヨタFJクルーザーGSJ15」は印象に残った1台

それまでの私の「FJクルーザー」のイメージは、北米で発売され日本でも話題になっていた「FJ40」をコンセプトにしたレトロデザインが印象的でした。しかし実際見るトヨタ「FJクルーザー」は、カラフルで愛くるしいフロントフェイスはそのままに、大径20インチホイールなど本格クロカンSUVとして、思わずデカッ!と言ってしまう程の迫力のフォルムに圧倒されます。
その他エクステリアでは、トラックを思い出させる3本ワイパーや大型ミラー、フェンダーのロッドアンテナが印象的です。握りが一回り大きいドアハンドルを引き、ドアを開けて乗り込むとクロカンSUVらしい目線の高さで視界も広く!インパネの計器類は極々シンプルで視認性も良いです。エアコンのスイッチ類やシフトノブも大きく造られグローブをしながらの操作も可能になっています。
キーをひねりエンジンを掛けると、4.0LのV型6気筒エンジンが目覚めます。この4.0L V6の1GR-FE型エンジンは、276馬力を発生。2t近い車重も力強く引っ張ってくれます。「ランクル」譲りの大柄なボディーを持ちながらも、街乗りではショートホイールベースも相まって、比較的乗りやすく軽快な印象。アクセルを踏み込むと心地の良いV6サウンドも聞こえ、5ATとの組み合わせでオンロードでも滑らかで気持ちの良い走りが体感できました。
アメリカナイズの大柄なボディに、ひと目見て分かる愛くるしいレトロデザイン、しかし見た目を裏切る「ランクル」譲り、本格クロカンSUVとしてのパワフルな走りは、トヨタ「FJクルーザー」を印象に残る1台にしてくれました。
「トヨタFJクルーザーGSJ15」の中古車市場事情

トヨタ「FJクルーザーGSJ15」は、「ランドクルーザー」シリーズの血統を受け継ぐ個性派クロカンSUVとして、国内外で根強い人気を誇ります。「FJ40」のレトロデザインをモチーフとし、4.0L V6エンジンと高い悪路での走破性を兼ね備えていることから、中古車市場でも高い評価を得ています。
現在の中古車価格
「FJクルーザーGSJ15」の中古車相場は、年式や走行距離、状態によって大きく異なりますが、近年の人気上昇に伴い価格は全体的に高止まり傾向です。2025年現在下は150万円程度〜ですが、コンディションによっては新車価格を上回る車もあります。特に走行距離の少ない極上車やカスタムを施された特別仕様車はさらに高額となっています。海外でもトヨタの4.0L V6エンジン搭載車の堅牢さや「ランドクルーザー」譲りの信頼性が認められているため、輸出需要の増加が価格を押し上げている状況です。
中古車選びのポイントや注意点
「FJクルーザーGSJ15」を中古で選ぶ際には、クロカンSUVならではの注意点がいくつかあります。まず、オフロード走行の有無や下回りのサビや損傷状況をしっかり確認することが大切です。また、4.0L V6エンジンのメンテナンス履歴や、ランドクルーザー譲りの足回り部分のチェックも重要です。レトロデザインを活かしたカスタム車両は人気ですが、その分改造点や交換部品の信頼性を見極めることが求められます。実車をしっかり試乗し、専門店や信頼できる中古車ディーラーでの購入を推奨します。
パワートレインと走行性能

トヨタ「FJクルーザーGSJ15」は、本格的なクロカンSUVとして高い評価を受けています。パワートレインには、4.0L V6ガソリンエンジン(1GR-FE型)を搭載し、5速ATとの組み合わせで最高出力276馬力を発生。(最大トルク38.8kgf・m)パワフルな走りと優れた耐久性を両立。ランドクルーザー譲りの堅牢なパワートレインやドライブトレインを活かし、街乗りからアウトドア、高度なオフロードまで幅広く対応できる走行性能が魅力です。
サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式独立懸架コイルスプリング(スタビライザー付)、リアにトレーリングリンク車軸式コイルスプリング(スタビライザー付)前後左右のショックアブソーバーを、中間ユニットを介して、対角線で連結し、相互の作動差に応じて、中間ユニットが最適な補助減衰力を付加することで、ロールやピッチングを抑えるX-REASをオプション設定しています。
優れたオフロード性能の秘密

トヨタ「FJクルーザー」のオフロード性能の高さは、「ランドクルーザー」の伝統を受け継ぐ堅牢なラダーフレーム構造や、4WDシステムに起因します。従来のクロカンモデル同様の大径タイヤや十分な地上高、電子制御式アクティブトラクションコントロールなどの装備により、険しい地形でも抜群の走破力を発揮。V6エンジンの力強いトルクも、ぬかるみや急勾配の登坂で威力を発揮します。またショートオーバーハングによる、高い水準のアプローチ・デパーチャーアングルも確保しており、オフロード走行でも安心して挑戦することができます。
デザインの特徴と個性

「FJクルーザーGSJ15」のデザインは、トヨタの歴史的モデルである「ランドクルーザーFJ40系」へのオマージュが随所に見られます。時代を感じさせる立てられたAピラーと低めのフロントガラス、丸型ヘッドライトやグリル前面の「TOYOTA」のロゴ、白色のルーフ力強いフェンダー造形など「40系」ランドクルーザーを彷彿とさせるデザインが特徴。一見2ドアに見えるスタイリッシュなデザインが特徴ですが、両側に大開口観音開きドアを採用して後席への乗降性に優れ、デザイン性と実用性を兼ね備えています。
ボディサイズと取り回し

「FJクルーザーGSJ15」のボディサイズは全長4,635mm、全幅1,905mm、全高1,840mmと、クロカンモデルとしては標準的なサイズですが、独特のショートホイールベース設計による取り回しのしやすさも特徴です。また高いアイポイントの視界性がもたらす運転のしやすさも、「FJクルーザーGSJ15」の大きな魅力のひとつです。大型ボディながらも扱いやすい工夫が随所に盛り込まれ、都市部での駐車や狭い道でもストレスなく使用できる点は、「ランドクルーザー」シリーズの中でも使い勝手の良さが際立っています。
インテリアの快適性と装備

「FJクルーザーGSJ15」のインテリアは、クロカンらしい機能性を重視しつつも快適性が確保されています。エアコンのスイッチやインナードアハンドル、シフトノブなどはグローブを装着したままでも操作しやすいよう大型化されている。また防水・防汚仕様になっており、大型のダッシュボードやタフな素材が多数採用されているほか、スタイリッシュなレトロデザインが個性を引き立てます。広めのキャビンと十分なラゲッジスペース、実用的な装備も備えているため、アウトドアや長距離移動にも最適です。
カラーバリエーションと限定車

「FJクルーザーGSJ15」は、鮮やかなカラーバリエーションと個性的な限定車が人気の理由です。ブルーやイエローなど、往年の「FJ40」を彷彿とさせる色使いはそのレトロデザインとマッチし、街でも一際目を引きます。時折登場する限定車は、専用グリルやルーフカラー、特別なインテリア仕様を備えるものも多く、ファンから高い人気を集めています。それぞれのカラーや仕様によって個性を演出できるのも、トヨタ「FJクルーザー」ならではの楽しみ方です。
オーナーによる口コミ・評判
トヨタが誇る「FJクルーザーGSJ15」は、ランドクルーザー 「FJ40」の系譜を受け継ぐレトロデザインと本格派クロカン性能を併せ持つSUVとして、多くのオーナーから注目を集めています。実際のオーナーによる口コミや評判では、その4.0L V6エンジンの力強さや、快適な街乗りとオフロード走行を両立する走行性能が高く評価されています。日常使いからアウトドアイベント、長距離ドライブまで幅広いニーズに応えられる一台として、愛用者が多いのが特徴です。
走行レビューと実際の使用感
「FJクルーザー」の走行レビューでは、4.0L V6エンジンが生み出す十分なパワーが特に評判です。オフロードではその高い走破性が発揮され、頑丈なフレーム構造と相まって、悪路でも安定したドライビングが可能です。ランドクルーザー譲りの卓越したサスペンション設定は、一般道や高速道路でも快適な乗り心地を維持し、長距離ドライブでも疲れにくいと好評です。また、「GSJ15」ならではの実用性の高さや、レトロで無骨なデザインもオーナーの満足度を高める要素となっています。
人気のカスタマイズ

「FJクルーザー」は、そのクロカン性能とレトロデザインを活かしたカスタマイズが人気です。多くのオーナーが社外製のバンパーやリフトアップキット、LEDライトバーなどを取り入れ、本格的なオフロード仕様にアレンジしています。また、ルーフラックやタイヤ、ホイールの交換なども定番で、ランドクルーザーや「FJ40」に通じるカスタム要素が多く見られます。カーオーディオやインテリア装飾を楽しむ方も多く、自分らしい一台に仕上げるのが「FJクルーザー」ならではの楽しみです。
まとめ
トヨタ「FJクルーザーGSJ15」は、個性的なデザインと高いオフロード性能を両立した、本格派クロスカントリーSUVです。4.0L V6の力強いパワートレインと悪路での走破性、実用的なインテリアや装備によって、日常使いからアウトドアまで幅広いニーズに対応しています。中古車市場でも高い人気を集めており、個性を重視するユーザーにとってもより良い選択肢の一つと言えるでしょう。また国際的にも評価の高い「ランクル」譲りの堅牢な構造で、定期的なメンテナンスを行うことで、長持ちする車としても定評があります。数多いクロカンSUVの中でも、トヨタ「FJクルーザーGSJ15」は、独自の個性と高い走行性能で、今後も輝き続ける1台になるでしょう。